稽古中の星安出寿 本場所スナップ くつろぎのひととき
星安出寿断髪式 (New)
星安出寿さんは運がよかったとはいえないでしょう。かつては最高位十両二枚目、十両在位三年間(1992年九州場所から1995年夏場所まで)を記録し、幕内昇進が目の前に見えていた時に怪我(左膝と肘)をし、負け越しを重ねて三段目にまで落ちてしまいました。その時から、上がったり下がったり、何回も関取復帰に近づいていたのですが、やっぱりもう一度その関門を超えることは無理でした。最後は2000年秋場所でした。せっかく幕下上位にあがっていて、もうちょっとのところで負け越しです。実に痛恨のかぎりです。ただし、本人がそのような不運で気力がなくなり、引退をするとは思いがけないことでした。不運のために上がれなかったのはきっと悔しかったのでしょうが、不運に負ける人ではないという感じがします。番付上の名前の位置よりも、きっと自分の生活環境(つまり弟子とともに生活していること)の方がずっと大切なことだったと感じられます。ですから、引退がこんなに早く来ようとは、考えてもみませんでした。
星安出寿は陸奥部屋にとっては、なくてならなかった人です。いつも後輩たちの稽古を見守り、適切な注意をあたえ、また自分も我慢強く、黙々と、ありとあらゆるトレーニングにはげみ、あるいはみんなと一緒に稽古に加わっていました。稽古をあまりしない人には厳しい、こわい存在だったしょうが、真面目に稽古にはげんでいる若者にはかけがいのない大切な先輩だったと言えます。和歌嵐を相手にして、根気よく何度も何度も立ち会いの稽古を重ねている姿は、今でも目の裏に灼きついているように思い出されます。相撲部屋というものは、なんといってもはかない人生の中での仮の宿という一面をもっているのです。その中で日々を暮らす弟子たちにとっては、この人が今いなくなっているということはどんなに寂しいことでしょう。
以下は現役中のスナップを集めた、記念の写真アルバムです。
この数年間に撮ったものですから、残念ながら星安出寿の化粧まわし姿の土俵入りはありません。
稽古中の星安出寿
本場所スナップ
くつろぎのひととき
ファンとともに
おわりに、陸奥部屋のメンバーのページに出してあった紹介記事を原文のまま転載します。
幕下東9枚目星誕期にくらべると内向的な性格で、静かな人です。人の話は注意深く聞きます。去年以来さんざんの不運でしたがようやく持ち直し、名古屋場所で勝ち越したので番付もあがり、一枚の差で星誕期につづくことになりましたが、秋場所ではまた負け越してしまいました。毎日絶えることなく稽古にはげみ、後進の弟子にはいい手本です。準備運動になることは歯をくいしばってなんでもやります。自分に対してはあくまでも謙虚で、若者たちに忍耐を教えるのはこの人です。後輩の教育にはじつに熱心で、規律を破るようなことはけっして許しません。相撲で上にあがるには、運不運もあるが、まず修道者のように禁欲的でなければいけないと信じているのでしょう。稽古中にそばに寄ると、まるで鋼の鎧をまとっているようで、こわい顔です。このへんは星誕期とはまったく正反対のように見えますが、根はいたってやさしく、思いやりがあり、みんなとふざけあっていい雰囲気をつくることのできる人です。
本名 ホセ・アントニオ・ホアレス
(Jose Antonio Joarez)
1968年6月1日生
アルゼンチン、ブエノスアイレス出身
1988年夏場所入門
191.5cm 170kg 秋場所成績 2勝5敗
最高位 十両2 通算334勝312敗
通算出場回数 646 勝率 51.7%
2000年秋場所後引退
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