陸奥部屋に移籍してからわずか二場所目、2001年初場所二日目から、敷島は心機能障害のため休場し、入院することになりました。これによって敷島は、永い間つとめて来た関取の座を失うことになりました。まさに痛恨の出来事だといえます。
その後も、病気は快方に向かってはいたのですが、日常生活に差し支えないということと相撲を取りつづけるということは、まさに天と地との違いがあります。医者にも、とても相撲の取れる状態ではないと断言されました。
激烈なダイエットをあえて実行し、僅か数カ月の間に50キロ近くも痩せたということは、文字通り人間わざではありません。これに耐えて行った精神力は容易なことではありません。
早く言えば、生き続けるか相撲を続けるのか、どちらを選ぶかという局面に追い詰められてしまったわけです。
「完璧なドクターストップがかかって、僕は生きることを選んだのです。」
どんなに辛かったかは察するにあまりあります。
四ヶ月の間こうして悩みぬいたあげく、ついに心をきめた敷島は、力士としての未来の希望を捨てて、引退を決断しました。これは五月場所三日目になって公表されることとなりました。以後は陸奥部屋付き準年寄として、後進の指導にあたり、相撲協会員としては花道の警備を担当しています。
現役時代は前頭筆頭にまであがり、無類のかいな力を誇り、二度も貴乃花を降した二つの金星は、いつまでも輝いています。
敷島の断髪式は、2001年9月30日に、国技館で開催され、約400人の人たちが鋏を入れました。
なお、トップページに出したテキストを、以下にそのまま収録します。
緊急お知らせ 敷島の断髪式について敷島の断髪式は、九月三十日に、両国の国技館の本土俵上で開催されます。当日の受付は、九時三十分ごろから行われ、断髪式そのものは十一時ごろからになります。式の後午後一時前後からパーティーがあり、終了は午後三時前後になる見込みです。
なるべく簡素にということで、恒例の引退披露行事は行われず、断髪式とパーティーのみです。
予約してない方でも、当日申し込めば入れます。入場料はなく、受付でお祝儀を出すのが慣例になっています。お祝儀の額は、人によってまちまちなので、一概には言えませんが、式とパーティーともで三万円から十万円ぐらい出す人が多いようです。
鋏を入れたい方は、その旨受付でお申し込みください。希望者が多すぎる場合は受け付け順となります。
なお、国技館の本土俵には、周知のように女性は上がれませんので、女の方は観客席での参加とパーティー出席のみとなりますので、御了承ください。前頭筆頭にまで進み、横綱貴乃花を二度にわたって降した二個の金星に輝く名力士敷島の、親方としての門出を祝福する意味で、多数の方の御出席を期待します。もちろん、陸奥部屋は親方をはじめ全員で参加します。
以上、お知らせまで